乾いたパンと濡れた羽
大川心平 個展 2024.7.20 - 8.7 at FOAM CONTEMPORARY
オープニングレセプション 7月19日(金) 18:30〜20:00
大川心平 個展 2024.7.20 - 8.7 at FOAM CONTEMPORARY
オープニングレセプション 7月19日(金) 18:30〜20:00
アーティスト大川心平による個展「乾いたパンと濡れた羽」を、銀座蔦屋書店内FOAM CONTEMPORARYにて2024年7月20日(土)~8月7日(水)の期間開催します。
ARTIST STATEMENT 「乾いたパンと濡れた羽」 窓外に見える倉庫の屋根で鳩が四羽休んでいる。鈍色の空の下、灰色の鳩もそれに溶け込むように羽を膨らませる。 焦げて乾いたトーストを食べながらその様子を眺めていると、いつかの黄色い日差しと籠った鳩の鳴き声が記憶の底から呼び起こされた。どこからか聴こえてくる三味線の場違いな音色。短い影を連れて歩く夏の道。鳩の姿は見えないがきっとどこかの電線やアンテナに留まって鳴いているのだろう。そこには過去に心を通わせた人々がいたが、今はもう会う術はない。子どもだった自分でさえも遠く霞む。 雨が降り出した。四羽いた鳩はいつの間にか一羽になっている。私が絵を描き続けているならば、この雨に濡れた羽を鮮明に思い出すときがくるだろう。 現在から過去に遡り、繰り返し思い起こす場所と出来事。生活の傍らにある美術史の断片や場末の壁や道端に落ちているものを画面に並置していく。 2020年から取り組んでいる二つのキャンバスが上下左右に移動する作品は、始めから組み合わさることを予定してはいないが、アトリエ内で画面同士が関連し合うことで、そのうちにもともとそれが決まっていたかのように制作は進行する。画面は最大で4つの構図を持ち、それぞれに見え方は変わる。中心となる作品の意味も同時に変化し、捉えたと思っていた一つの構図はもう一方の構図となったときには崩れてしまい、その都度均衡をとる必要がある。 現実を捉える煩雑さは一つの物事がそれ自体が変わらなくとも複数の顔を見せることに起因する。同じものを見ていてもそれと接する人、時間、場所によって意味が大きく変わる。いくつもの側面がある物事を一つの見方で捉えることは困難だ。また一つの見方をしている時には他の見方に気がつかない場合すらある。 二枚の画面を組み合わせ描くことは、近年ますます複雑になっていく現実を捉えることとどこか似ている。この世界を生きているのも筆を動かしているのも私だが、それがどこに向かっているのかはわからない。 PROFILE 大川心平|Shinpei Okawa 大川心平は1983年東京都⽣まれ。2007年東京藝術⼤学美術学部絵画科油画専攻卒業、09年同⼤学⼤学院美術研究科油画修了。⾵景の中に残されたイメージを喚起させる断⽚と、記憶のなかに残された個⼈史、美術史の断⽚とを組み合わせ、多⾓的な作品をつくる。国内外で開催される個展やグループ展に参加。帝京⼤学(東京)、光州市⽴美術館(韓国)に作品が所蔵されている。 掘り起こされた目は語る oil on canvas, H1788×W1455 mm(M80号 2連作、可変), 2024
INFORMATION
会期 |2024年7月20日(土)〜8月7日(水) *終了日は変更になる場合があります レセプション|7月19日(金) 18:30〜20:00(予約不要) 時間 |11:00〜19:00(最終日は18時まで) 会場 |銀座蔦屋書店内 FOAM CONTEMPORARY 定休日 |月曜日 問い合わせ |03-3575-7755 主催 |銀座蔦屋書店 協力 |和田画廊 |